高齢者が貯蓄額が多いのは退職金も関係しています。
では、現在の定年退職者はどれくらいの退職金を受け取っているのでしょうか?
フィデリティ退職・投資教育研究所による「退職者8,000人アンケート(2015年度版)」を参照すると、以下の事が分かりました。
退職金がない会社:14.9%
退職金の平均額:1,747万円
退職金を平均にすると、かなり大きな額になります。
では、分布を見てみるとどうでしょうか?
今回も偏差値で示してみました。
72.0~ 5,000万円以上 (上位1.3%以内)
69.0~ 4,000万円台 (上位2.8%以内)
62.8~ 3,000万円台 (上位9.7%以内)
56.5~ 2,500~2,999万円 (上位25.5%以内)
51.8~ 2,000~2,499万円 (上から42.2%以内)
※最も多いゾーン
48.5~ 1,500~1,999万円 (上から56.6%以内)
※1,700万円あたりがちょうど真ん中
44.8~ 1,000~1,499万円 (上から69.7%以内)
40.5~ 500~999万円 (上から82.6%以内)
31.5~ 500万円未満 (上から96.9%以内)
30未満 退職金なし (上から100%)
実際には退職金がない人はもっと多い(3割くらいいると推測)と思われますが、アンケートでは以上の結果が得られたようです。
上記のデータから退職金の中央値は、1,700万円付近であることが予想されます。
このあたりが現在の高齢者の退職金の相場かと思われます。
ちょうど60代以降の貯金額(1,600万円・負債抜き)の中央値になりますね。
貯金との差が少しあるのは家や車の残りのローンを完済する人もいらっしゃるかもしれませんね。
多くの高齢者が退職金をもらう前は、子どもの教育費やローンなどでスッカラカンということが推測できます。
なお、退職金の受取額でもっとも多いゾーンは2,000万円~のゾーン。
2位は2,500万円~のゾーン。3位は1,500万円のゾーン。
これだけ結構な退職金をもらっていて貯金額も1,500万円以上の方が多いのに、老後の生活資金が不安という方が55%近くいらっしゃいます(フィデリティ退職・投資教育研究所のデータより)。
上記の調査では退職金がない企業が14.9%になっていますが、退職金がない企業は年々増えてきています。
そして企業の倒産が増え、終身雇用の崩壊、年功序列式の崩壊により、1つの企業に長年勤めることが難しくなってきています。
今までは勤続年数が多くなるほど給料もよくなってきていましたが、昇給が苦しいもしくは少ないという企業が増えています。
今後は退職金がもらえない人が増え、退職金がもらえる人でも額は減っていくと予想されます。
私たち30代が老後になったときにもらえる退職金の相場は半分以下になっているかもしれません。
また、年金の受給開始年齢の引き上げ、年金額の減少も考えられますので、これからの時代はますます節約と資産形成が重要になっていきます。
もうすでに「退職金頼み」の時代は終わりつつあります。
上記の退職金のデータはかなりの額ですが、それは古き良き時代を生きた世代のものに過ぎません。